日本公開前から話題になっていた作品。
まず、言わせてほしい。
スワン・アルローかっこよすぎる!
サスペンスと思ってたら、法廷劇でもあった。
(なので、わかりやすい結末を求めて見ると期待外れかも)
だからフランスの裁判を知るという意味でも興味深かった。
まず、フランスの法廷って、あんなに自由に演劇みたいに話せるんだという驚き。
子どもを子ども扱いしすぎないというか、配慮はするけれど、一人の大人として対応しているのも印象的。
さて、本編の内容。
醜い夫婦喧嘩で明らかになる夫婦の危ういバランス。
あえて男女を逆に描いているらしい。
もしサンドラが男性だったら、感じ方は全然違うかもしれないなんて思っている自分が嫌になる。
母国語が異なるふたり。
夫の祖国で暮らすことになり、異国で被告になってしまう妻。
言語が異なることで生まれる不安や苛立ち。
ラスト。
ダニエルは決断した。
重い重い何かを背負った代わりに。
まるで息子が母親を抱きしめるようなシーンがそれを象徴しているようでならない。
ダニエルは「すべて知ってる」と書いている人もいるけれど、わたしはそうは思わなかった。
ダニエルだって、夫婦の「すべて」を知っているわけではない。
その主観的な立場からの「見方」しかできない。
真実なんてとても曖昧模糊で、本当なんてどこにもないって思う。
「正しいことって何?そんなもの存在するの?」と常々考える私にとっては、この映画はその意味で共感できた。