おでかけ日記

都内在住アラサーOLのおでかけ記録

落下の解剖学

日本公開前から話題になっていた作品。

 

まず、言わせてほしい。

スワン・アルローかっこよすぎる!

 

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サスペンスと思ってたら、法廷劇でもあった。

(なので、わかりやすい結末を求めて見ると期待外れかも)

だからフランスの裁判を知るという意味でも興味深かった。

まず、フランスの法廷って、あんなに自由に演劇みたいに話せるんだという驚き。

子どもを子ども扱いしすぎないというか、配慮はするけれど、一人の大人として対応しているのも印象的。

 

さて、本編の内容。

醜い夫婦喧嘩で明らかになる夫婦の危ういバランス。

あえて男女を逆に描いているらしい。

もしサンドラが男性だったら、感じ方は全然違うかもしれないなんて思っている自分が嫌になる。

 

母国語が異なるふたり。

夫の祖国で暮らすことになり、異国で被告になってしまう妻。

言語が異なることで生まれる不安や苛立ち。

 

ラスト。

ダニエルは決断した。

重い重い何かを背負った代わりに。

まるで息子が母親を抱きしめるようなシーンがそれを象徴しているようでならない。

 

ダニエルは「すべて知ってる」と書いている人もいるけれど、わたしはそうは思わなかった。

ダニエルだって、夫婦の「すべて」を知っているわけではない。

その主観的な立場からの「見方」しかできない。

真実なんてとても曖昧模糊で、本当なんてどこにもないって思う。

 

「正しいことって何?そんなもの存在するの?」と常々考える私にとっては、この映画はその意味で共感できた。